半東とは
『茶道辞典』で「半東」と調べると、
「亭主の補助役をつとめる者のこと」と記載されています。
しかし、最近の大寄せの茶会などでは、
半東の役割が拡大しているように感じます。
比較的若い方が亭主を務めて
お点前に集中する一方で、
半東が、亭主の補助だけではなく、
お客様へも応対し
茶会を滞りなく進行させる役割も担っています。
このような場合、半東が、
茶会の雰囲気を作ると言ってもよいでしょう。
そこで、茶会の進行役として
半東が言うべき挨拶や
配慮するべき点をまとめてみました。
お正客をお願いする
親しい人の間での茶会では、
予め正客を決めておき、
その旨を事前にお伝えしておきますが、
どなたがお見えになるかわらかない大寄せの茶会では、
譲り合って正客の席がポッカリあいたまま・・
ということが間々あります。
そうなると、初対面の客同士では正客が決められず、
無駄な時間が過ぎていってしまいます。
滑らかな進行の為にも、半東が出てきて、
男性客、あるいは、着付けや振る舞いで経験豊富そう・・
と思われる方に、今日の半東である旨ご挨拶をして
「正客をお願いできませんか？」とお声かけするべきでしょう。
できれば、席入りの前、
寄付きで正客を決めておく方がよいと思います。
お菓子を勧める
席入りがすむと、本来は亭主が挨拶を受けるのですが、
大寄せの場合は、亭主は点前に集中して、
席主あるいは半東が挨拶を受けます。
季節の挨拶、
わざわざお越しいただいたことへの
お礼は最低限お伝えしましょう。
続いて、お菓子を勧めます。
濃茶の場合であれば、菓子器が行き渡った後すぐに、
薄茶の場合は、点前の進行を見計らって
「どうぞお菓子をお取り回しください」とお勧めします。
お客様の人数が多い場合、取り回しに時間がかかりますので、
少し早目かなと思うタイミングで声をかける方がよいでしょう。
また、お菓子によっては、楊枝では切りにくいものもあります。
そのような場合は、「どうぞ、お手でそのままに・・」
と食べ方についても一言添えましょう。
お茶を運び、拝見を勧める
お茶が点つと、半東はお茶碗を正客、次客に届けます。
お茶が飲み終わったタイミングを見計らって、
「お茶碗をどうぞ拝見にお回しください」と声をかけます。
時間に限りがあるときは「お次客以下のお客様は２、3名ずつ・・」
「拝見は三客までに・・」などと、お声かけします。
お道具に関しては、
正客から様々なお尋ねがあることが想定されます。
通常は亭主や道具を準備した席主がお答えしますが、
半東が答えることもあり得ます。
会記に書かれている内容は、
しっかり把握しておきましょう。
お客さまへのアドバイスも
大寄せの茶会では、様々な流派の方が集まり、
一度にお茶を頂くことになります。
拝見する道具の渡し方や濃茶の出袱紗の扱い方など、
手順が流派によって異なり、
お客様同士で戸惑うこともあります。
お客様の様子を見て、
「ご自分の流儀の通りでどうぞ・・」
といった言葉をかけるのも半東の役目です。
また、初心者の方がいらしたら、
お茶の頂き方など、さりげなく助言するとよいでしょう。
臨機応変で！
亭主も経験豊富で、予定通りに進行している茶会では、
半東は元々の役割通り「補助役」に徹し、
「基本の挨拶」をしっかり述べれば大丈夫です。
経験が少ない亭主の場合や、
何かと難しいお客様がいらっしゃる場合は、
半東の力量が試されます。
日々のお稽古でしっかり基本の茶会の流れをつかんで、
その上で、臨機応変の「応用編」の対応をしていくのがよいでしょう。
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