お稽古で、花入にムクゲが入ると「ああ、夏だなあ」
という気分になります。
種類にもよりますが、6月から10月くらいまでは
ムクゲを楽しむことができます。
ムクゲは種類が多く、色や花びらの付き方、形状が異なり、
種類によって茶室の雰囲気を変えることができます。
炉の椿 風炉の木槿
茶席では、「炉には椿、風炉には木槿」というのは定番ですが、
どちらも種類が多く、種類によって違う雰囲気を出すことが
できること、そして花の部分が落ちるところは大変よく似ています。
ただ、ムクゲの花の命はその日限りで、朝に開き夕べにはしぼん
でしまいます。
お茶事が始まってから終わるまでに、花が徐々にひらいて大輪の花を
咲かせる姿を見られるところは、人の人生を見ているようで感慨深い
ものがあります。
中国では「朝生暮死」「槿花一朝の栄え」などと言い表され、花道の
世界ではそのはかなさから「禁花の事」「きらひ物」として文献に
のっている時期もあったようです。
ムクゲの生まれ故郷は?
日本人にもなじみの深いムクゲですが、その生まれ故郷はいったい
どこでしょうか。
「ムクゲ」という名前は、中国の「木槿(もくきん)」からという説と、
韓国語の「無窮花(ムグンファ)」を日本語読みにしたもの、とも
言われていてはっきりしません。
原産はシリアとも中国とも言われていますが、確実な事はわかって
いないようです。
ムクゲの分布を見ると、暖温帯から亜熱帯地域が多く、日本では全国
で見ることができます。
ムクゲはどうやって育てるの?
ムクゲは丈夫で育てやすく、種類にもよりますが耐寒性があるので、
日本中どこでも栽培でき、初心者でも扱いやすい花です。
ムクゲは日当りがよく水はけのよい場所を好みますが、夏の乾燥を
嫌いますので水もちのいい場所に植えてあげましょう。
増やし方は、挿し木、接ぎ木、種撒きが可能で、落葉期の
11月から12月に行う秋挿しは、地面に直接挿し木ができる
ので簡単です。
ムクゲの剪定方法は案外簡単
ムクゲは枝の伸び方や混み具合をみながら、12~3月くらいまでの
落葉時期に、適度に剪定します。
縦方向に伸びる性質ですので、横に広がる事はないと思いますが、
枝が伸びて混みあってきたら、全体の樹のバランスを見ながら
切って行きます。
花は1日でしぼんでしまいますが、次々に花を咲かせる生命力の
強い丈夫な植物ですので、あまり神経質にならずに剪定することが
できますが、強く切りすぎると花の開花が遅くなったり、
開花しなくなるものもあるので注意が必要です。
枝が混み合ってきたら、一度に切ってしまわずに、毎年少しずつ
切って行くのがいいようです。
ムクゲの花の選び方
たくさんの種類があって、茶席やお稽古にどんなムクゲを選んで
いいのかわからなくなってしまいます。
ただ、すべての種類のムクゲがお茶席に使えるわけではなく、
あまり向いていないものもあります。
ムクゲの種類には、一重咲、半八重咲、八重咲がありますが、
お茶席には八重咲や造花のように見える洋種は茶花としては
好まれないようです。
茶席で使われるムクゲとしては、「宗旦木槿」があまりにも
有名です。
一重咲の白の花びらで、めしべの周りが底紅になっていて、
白の花の真ん中に紅い色が映えて、美しく清楚で凛とした
ムクゲです。
また、白木槿、紅木槿などがあり、紅木槿でも底紅になって
いるものもあり、お茶席の雰囲気に合わせて選ぶといいですね。
まとめ
ムクゲの花言葉はお茶の精神に似ています。
「信念」「尊敬」「慎み」「柔和」など、すべてお茶にも
つながる言葉ですね。
清楚なムクゲにぴったりの言葉で、人として、女性としても
かくありたいと思える
花言葉です。
ムクゲが花入に入る季節になったら、この花言葉を胸に
お稽古に励みたいと思います。
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