茶道を習い始めたばかりの頃、帛紗さばきがうまく行かず密かに家で猛練習し、
ようやくいい音が鳴り出した、とほくそ笑んでいた時、
お稽古で先生がおっしゃいました。
「それは男点前といって音を出すものだけど、
女点前では音は鳴らさないのですよ」
せっかくポン!と小気味良い音がするようになったのに!
残念極まりない思いをしたその時、初めて男点前という言葉を聞いたわけですが、
他にも茶道では男女に点前の違いがあるのです。
ここでは表千家の点前で、男女で大きく違うものをいくつか見ていきましょう。
茶道点前・男女の違い‘帛紗さばき’は音を鳴らす?
最初に述べましたが、点前の途中で茶杓を拭くために帛紗をたたみ変えるとき
男性の場合は帛紗を音をたててちり打ちします。
男性は毎回ちり打ちしますが、女性は最初だけでその後は音は鳴らしません。
茶道点前・男女の違い 釜の蓋を素手で取るか否か?
男性の場合は、釜の蓋は帛紗を使わないで、手でつまみを持ってあけます。
慎重にやらないと熱いそうですよ、本当に!
素手なので、湯気の熱さが手に当たらないよう気をつけなくてはならないのです。
ただし共釜という釜の蓋が釜と同じ鉄でできているものを扱う時には、
男性も帛紗を使って蓋を開けます。
女性は帛紗を使いますが、それでも熱い釜の蓋を開ける時は気を使いますよね。
茶道点前・男女の違い 茶碗の出し方も違う?
点てたお茶を客に出すとき、女性の場合は茶碗を右手でとり、
左でであしらって膝横に仮り置きします。
そして客付き斜めに向き、茶碗をとって2度回しして
客付へ差し出します。
男性の場合はお茶を点てたら、居前のまま茶碗の向きを変えて差し出すのです。
同様に、茶碗を取り込む時も居前から行います。
茶杓や仕服を拝見に出す時も同様です。
ちなみに、男性は膝を繰る時に手をつきません。
茶道点前・男女の違い 引き柄杓か?置き柄杓か?
お茶を点てたあと、茶筅すすぎのお湯を茶碗に入れ、
柄杓を釜に置く時、女性は置き柄杓で
男性は、引き柄杓で柄杓を置くのです。
さらに男性は茶筅すすぎを終えて、茶巾、茶筅を茶碗におさめ、
茶杓を取って建水を下げたのち、茶杓をもったまま帛紗をさばいてたたみます。
男女の違いを楽しむのもよし!
元々は男性のものであった茶道なので、いわゆる女点前はあとからできたものです。
現在では圧倒的に茶道人口は女性が多数なので、茶道のテキストなどには女点前が
前提のように書かれてあります。
細かな所作で違うところがありますが、
点前の流れに男女の違いはほとんどないと言えます。
手をついて膝を繰る、というのも着物が乱れないように考えられていますし、
女性の方がより優雅に見えるようになっているのでしょう。
ちり打ちも、男性が音をたてるのは男性らしく、ということからでしょうか・・
茶道習いたてのころは、ちり打ちの音、とにかくさせたかったものです。
いずれにしても、そういった違いをお稽古や茶会で見るのも楽しいですし、
お互いに美しい所作を見習うことで、茶道の修練も高まるというものです!
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