袋師の土田友湖とは?【千家十職の覚え方講座】

濃茶席で道具組みを拝見する時、茶入れを包む仕服が
まず目に入るのではないでしょうか。
華やかだったり、時代のものだったり・・。
千家十職で、その仕服を作る袋師が土田友湖です。

高価な茶入を守り飾るのが仕服の役目

仕服

袋師の主な仕事は、茶入れが入っている袋である仕服を
制作することです。
茶入は濃茶を入れる容器で、点前をするときには
仕服で包んで茶席へ持ち出します。

 

信長や秀吉の時代には、茶入れは戦功の褒賞としてやり取りされ、
中には、一国に匹敵するほどの価値を認められたものもありました。
大変な価値のある茶入れを保護するため、袋に入れて扱うようになり
その結果仕服が生まれました。

 

桃山文化華やかな時代ですので、ただ保護する為の裂地では面白くないと
ばかりに、様々なデザイン、珍しい裂地を使って袋が作られました。
そして、個性的な仕服も鑑賞の対象になっていきました。

 

袋師の仕事

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茶入は一つずつ大きさや形が違うので、まず、高さ、口径などの寸法を計り
それに合わせて、袋を仕立てる必要があります。

華やかな裂地に目がいく仕服ですが、あくまで、茶入れが主役であって、
それを引き立たせることが仕服の重要な役目です。
茶入れの持ち主から好みや希望を聴きながら、裂地を選び、
仕服の制作を行うそうです。

袋師は、仕服のほかにも服紗、数寄屋袋、男物の帯も制作し、
また、茶巾や布巾、手拭きなど、茶道で使う布製品全般を扱っています。

琵琶湖の舟の上で賜った「友湖」の号

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土田家の祖先は近江国蒲生郡土田村の出身の侍・土田七大夫
言われています。

その子孫・半平は京都に出て商人となり西陣の仲買いをしていましたが、
手先が器用だったため、近隣に住む袋物師亀岡宗理に
袋作りの技術を教わりました。

宗理は茶道に熱心で、藤堂家の茶頭に就任するにあたり、
家業の全てを土田半平に譲ります。
半平は、それより袋師となりました。

初代半平は、表千家7代如心斎と俳諧を通じて深い交友がありました。
如心斎が大津の石山寺へ参詣した際、半平はお供をしますが、
琵琶湖に船を浮かべて観月の遊びをしていたときに、
何か感じるところのあり船上で剃髪しました。
その際、如心斎より「友湖」の号を賜ったそうです。

琵琶湖の船上で、「湖の友」という名前を頂くとは、
何ともいえず風流な感じがしますね。
その後、代々、友湖の名前は当主に伝わっていきます。

服紗にも事業を広げる

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当初仕服だけを制作していた土田家ですが、5代のころより
服紗を扱うようになります。
これは、古くから服紗を扱う室町一文字や笹屋といった家が絶えたため、
表千家9代了々斎の引き立てを受けたものでした。

 

苦難の時代を乗り越えて

他の千家十職と同様、江戸末期以降土田家にも苦しい時代が続きました。
天明の大火で家屋を消失したのち、1864年には蛤御門の変でも、
再び家が全焼し資料が焼失しました。

明治に入ると、後継ぎの早世が続きます。そのため、7代の娘、
8代の妻の阿さ10代目を継いで昭和15年まで稼業を支えました。

11代は10代の没後を継ぎますが、満州事変後、数度の召集を受け、
茶道どころではない時代を過ごします。
戦後、やっと茶道の復興の兆しが現れた頃には、身体を壊し、
病と闘いながらの生活になりました。

当代12代は、11代が身体をこわしたため、昭和29年中学卒業と同時に
表千家の内弟子に入り家元へ通うようになります。
昭和35年からは、父親の代理で十職の一員として家元に出入りする
ようになりました。

ご本人も「弟子と職家の二足のわらじを履いてた」と話しているように、
作る側・使う側の二つの目をもって袋師としての伝統の技の継承
努めていらっしゃいます。

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