能や狂言、そして歌舞伎や日本舞踊
日本の伝統芸能といったら上記の中のどれか、を
思い浮かべるかと思います。
でも、その違いについては意外と知らない方が
多いのではないでしょうか。
または違うものとはわかっていても、
そもそも何が違うの?
という疑問を持っている方も多いと思います。
今回は、能と日本舞踊の違うところに
焦点をあてながらも
能、狂言、歌舞伎、日本舞踊の
関連性や踊りについて、また歴史についても
わかりやすくお伝えしてみようと思います!
歴史からみた日本舞踊と能の違いとは!
まずは歴史から。
歴史というと中学高校時代の授業のような
感じがしてなんだか眠くなりそうですね(笑)
ここでは、
できるだけ簡潔に歴史をお伝えできればと思います!
能と狂言、歌舞伎と日本舞踊
能と狂言、歌舞伎と日本舞踊は
同じグループ分けと言っても良いでしょう。
能と狂言は能楽と言われ、
基本的には、1つの公演において
能と狂言が交互に演じられます。
そして、歌舞伎と日本舞踊。
日本舞踊は元々、能でいうところの狂言のように
芝居と芝居の合間に舞踊を挟む
といったスタイルで公演が行われていました。
今現在は、狂言も日本舞踊も
独立して公演を行うこともあるので
上記以外の例もあります。
能狂言、歌舞伎、日本舞踊の歴史を簡単にご紹介!
この中で一番古くから存在しているのが
ダントツで能です。
能の源流は、なんと奈良時代!
中国が唐という名前だった頃に流行っていた
「散楽」という民間芸能が
日本に来たことに始まったそうです。
それから室町時代頃に
観阿弥や世阿弥が
神道的宗教行事が起源の田楽や、
仏教の寺院で行われるような延年
などを元として創ったものが能で、
そこから笑いや風刺の要素を取ったものが
狂言として発展していきました。
そこから、時代は流れ・・・
1603年、つまり江戸時代。
出雲阿国という女性が行った
「かぶきをどり」というのが
歌舞伎の始まりと言われています。
元々阿国がやっていたのは
「念仏踊り」だとされていて、
これには能などの舞の要素が強かった
ように感じられます。
ちなみに、
かぶきというのは
「かぶく」=「傾く」
つまり常識はずれ、異様な風体の
アウトロー的なものを表す言葉。
今の歌舞伎、という字は
当て字なのだそうです。
更に時は流れ・・・
女性歌舞伎は結局売春まがいなところが増えちゃって
風俗上の理由で廃止されたり、
次に流行った若衆歌舞伎(若いイケメンばかり集めたもの)
も結局のところ風俗上の理由で廃止されたり
まあ紆余曲折ありまして、
今のスタイルである野郎歌舞伎が確立されたのが
1680年前後。
そして、日本舞踊は
この歌舞伎から来た歌舞伎舞踊
更には座敷舞や上方舞や京舞など、
独自に発展してきた舞踊も併せて
今現在まで続いています。
能や狂言は、神様に捧げる芸能を主軸とし
歌舞伎や日本舞踊は、江戸時代の庶民の娯楽として
発展してきました。
ですので、歌舞伎の中には
能や狂言から派生した演目も数多く存在しています。
今でも能と歌舞伎両方にある演目というのも
沢山あります!
機会がありましたら、
同じ演目を能と歌舞伎とで
見比べて見るのも面白いかもしれませんね。
日本舞踊と能は踊り方が違う?!
そもそも音楽も違います!
日本舞踊の場合は、三味線や箏など弦楽器を
使用しますが
能楽の場合は弦楽器が一切ありません。
というのも、
三味線という楽器は江戸時代に
後に中国から伝来してきたもの。
ですので、それ以前に確立していた
能狂言には弦楽器が存在しないんですね。
踊り方の違いは?
能では踊りのことを仕舞と呼びます。
この仕舞と日本舞踊とでは
全く違うところもあれば、
同じようなところもあります。
そもそものルーツは一緒ですので、
当たり前なのですが
例えば足運び、
すり足などは少々やり方が違うようです。
日本舞踊ではスススーっと地面から少しも
離れないように動くのが基本ですが、
仕舞の場合ですと一歩一歩でつま先をあげる
ような動きをする場合があるんです!
基本の姿勢も、
仕舞のほうが少し前のめりで
また扇子の扱い方などにも違いがあるようです。
同じ「舞」とはいえ
だいぶ違った動き方をするようですね!
扇子も違う!小道具の違いをご紹介!
基本的には日本舞踊で使うのはこちら
一般的な舞扇子です。
ですが、能や狂言で一般的に使われるのは
二種類あります。
主に、能を演じる時に持つのが
中啓(ちゅうけい)という扇子。
こちらは日本舞踊でも、能狂言からの
演目を踊る時に使ったりもします。
またもう一種類は、
仕舞などの時に使う
鎮扇(しずめおうぎ)というもの。
また、この鎮扇は
シテ方(主役を演じる人)
の流儀によっても文様や作りが
決まっているそうです。
同じ扇子でもそれぞれに色々な種類
があるようです!
ぜひ観劇の際は扇子の種類にも
注目してみると面白いかもしれませんね。
日本舞踊と能の違い、
ざっと私なりに書いてみました。
踊り方や動き方の違いなど、
実際に観劇してみて
見比べてみるのも良いかもしれません。
是非とも機会があったら見に行って
みてくださいね!