歌舞伎の歴史を勉強すると
江戸の荒事、上方の和事
などとよくいわれいることがわかります。
歌舞伎の荒事・和事って、いったい、
どういうものなのでしょうか?
歌舞伎の荒事とは?その意味や特徴を解説!
荒事は、初代の市川團十郎が作りだした
荒々しく豪快な演技や
そのような登場人物が登場する演目のことを
いいます。
荒事は、武士が多い江戸の街で好まれました。
ストーリーは単純。
主人公は勇壮で豪快な人物で、
悪者たちをばったばったとやっつける
スーパーマンのような人物です。
見ている観客の、気分がスッキリするような
ストーリーが多いですよ。
歌舞伎十八番ってどんなもの?
歌舞伎十八番とは、七代目市川團十郎が
市川宗家の家の芸として選定した
荒事の演目18個です。
最も人気が高いのは『助六』『勧進帳』『暫』。
『外郎売』『毛抜』『鳴神』『矢の根』も
よくかかる演目ですね。
『押戻』は、演目ではなく、
最後に悪人を
「押し戻す」演出を指しています。
その他は、
『嫐』『景清』『鎌髭』『関羽』『解脱』
『蛇柳』『象引』『七つ面』『不動』
『不破』
です。
同じ荒事でも、主人公のスタイルは様々。
助六は、イケメンで、
吉原の花魁からの人気も絶大な
江戸一番のいい男。
勧進帳の弁慶は、頭も切れ、力も強く、
忠義心も強い男。
暫の主人公、鎌倉権五郎は、
身体も大きく、超人的なパワーで
悪者をバッタバッタと倒します。
荒事で着用される衣装は?
荒事の主人公は、
強さを表すための隈取をしています。
衣装も、誇張されて、
大げさなものが多いのが特徴。
その大げさな衣装を着て、
派手に見得を切り、
花道を飛び跳ねながら駆け抜けるなど、
体力を使うのが、荒事の特徴です。
暫の主役の鎌倉権五郎は扮装も大がかりで、
大きく張り出した髷に大きな和紙をつけ、
顔には派手な筋隈、
市川家の紋である三升が染め抜かれた
袖の中に棒を入れて
凧のようにピンと張っています。
すべて強さ、大きさを表現するための誇張です。
菅原伝授手習鑑、車引に登場する
梅王丸も荒事の役。
梅王丸が身に着ける帯は、
強さを誇張するため、
綿がたくさん入れられ筒状に膨らんで、
全長は7メートル近くあるそうです。
こういった衣装を身に着けるのも、
数人がかりになるそうですよ。
和事の代表作は?演目名を紹介!
荒事に対し、上方で好まれたのが和事。
文字通り、柔らかく、しなやかなお話です。
商業の街の大阪ならではの
金持ちの「ぼんぼん」が主人公。
“つっころばし”と呼ばれるのですが、
突けば転びそうな弱々しい、
主人公が多いのです。
和事の代表作といえば、『廓文章』
伊左衛門はの大店の跡取り息子なのですがが、
夕霧太夫と深い仲になり、
店の金を入れ揚げ勘当された身分。
紙の着物というみすぼらしい姿で
夕霧のいる吉田屋に現れるのですが、
気分や振る舞いはぼっちゃん当時のまま。
夕霧が別の座敷に出てるとしると、
すねるは、ダダをこねるわ・・と
まるで、子供のようです。
最後は、勘当が許され、親元から大金が届いて
夕霧も身請けできてハッピーエンドという
ファンタジーです。
「つっころばし」の役どころで有名なのは、
『双蝶々曲輪日記』に登場する
商家の若旦那山崎与五郎。
関取の濡髪長五郎の大ファンで
応援しているのですが、
身体も大きくりりしい濡髪に対して、
与五郎は全く頼りないのです。
威勢のいい荒事の主人公たちと比べて、
なんとも頼りないのですが、
なぜか、女性にもてるのです。
にくめない愛嬌があるんですよね。
あなたは、逞しく力強い荒事の主人公と
弱々しいけど、母性本能をくすぐる和事の主人公
どちらが、お好みですか?
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