棚からぼたもちだ!とは言いますが、棚からおはぎだっ!とは言いません。
でも、おはぎとぼたもちは同じもので、実は花の名前が由来なんです。
日本の四季の豊かさを表すおはぎとぼたもちの語源から
その違いを探ってみましょう!
おはぎ・ぼたもちの語源は萩と牡丹
おはぎは「お萩」、ぼたもちは「牡丹餅」と書きます。
ご存知の通り、萩の花は秋に咲き、牡丹は春に花を咲かせます。
つまり
秋のお彼岸に食べるのが、おはぎ
春のお彼岸に食べるのが、ぼたもち
ということになるのです。
花の咲く季節によって呼び名を変えるなんて、
日本の四季と自然を愛でる文化が
食べ物にも色濃く反映してますね!
また、萩の花があんこの小豆(あずき)を散らしたようなので、
この名がついたとも言われています。
おはぎとぼたもちの違い
同じものとはいえ、食べる季節によって語源の花が違うおはぎとぼたもち。
呼び名の他にはどんな違いがあるでしょうか?
おはぎとぼたもちは、古来より邪気を払うとされる
赤い色の小豆を使います。
この小豆、収穫されるのは秋。
採れたての小豆は皮ごと煮ても柔らかいので、
つぶあんでおはぎに使います。
春に食べるぼたもちの場合は、冬を越したあずきなので、皮も若干固め。
そこで、皮を取り除いてなめらかにこして使うのです。
ですから、
秋彼岸は萩の花でつぶあん、
春彼岸は牡丹の花でこしあん
というのが多いようです。
さらに!四季によって呼び名が違うおはぎ・ぼたもち
これは全く知りませんでした。春と秋だけじゃないのです。
たしかにおはぎ・ぼたもちは夏にも冬にも食べますよね?
幼い頃、夏のお盆の時期に田舎のお墓参りでおはぎが出されました。
その時は、「はい、おはぎ」といって渡されたように思うのですが・・
実は夏のおはぎ・ぼたもちは
夜船
と言うのです。もう、それだけで風情ありませんか?夏の夜船・・
おはぎ・ぼたもちの餅は半分米の形が残ったままで、
完全に搗いてしまいません。
餅を搗く音がしないことから、‘搗き知らず’が‘着き知らず’となり、
船が着いたかどうかわからないという連想から「夜船」になったとか!
夏の夜船、なんだか怪談めいていてこの季節にぴったりです・・
ぼたもち、という少し呑気な音が急に冷気を帯びたようです!
では冬に食べるおはぎ・ぼたもちは何と言うのか?
こちらは北窓
さきほどの、餅を搗く音がしないことの‘搗き知らず’が
‘月知らず’となり、月が見えない場所ということから連想されたのが
「北窓」なんだとか。詩的ですね・・
おはぎ・ぼたもちがお彼岸の代表的なわりあい素朴な食べ物であるのに対して、
夜船と北窓と聞くと手の込んだ美しい和菓子のような
イメージになるからおもしろいですね!
地域によってもおはぎとぼたもちは違います
関西と関東の違いで顕著なのが、味付け!
あんこときなこは王道ですが、
関西には青海苔をまぶしたもの
関東には黒胡麻をまぶしたもの
があるのです。
さらに、主に東北地方では
枝豆をつぶして味付けした薄緑色のずんだ餅なども。
桜餅も道明寺と長命寺の違いが有名ですが、それぞれの地域性があって
味わいや見た目を楽しむのもいいですよね。
半殺し!?皆殺し!?
なんとも物騒ですが、何のことかわかりますか?
実はこれ、米の搗き方の状態を表しています。
まだ米粒が半分のこっている状態、おはぎ・ぼたもちの餅の部分ですね、
これは半殺し。
完全に搗いて餅になっているのは皆殺し!!
同様にあんこの状態も指すんですよ、つまり
つぶあんは半殺し
こしあんは皆殺し
また空気がひんやりしてきました・・・
今度おはぎを食べる時、みなさんもきっと思い出しますね、
これは半殺しだ、って!
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