能の演目『松風』のあらすじを紹介!百人一首が題材?

「熊野・松風に米の飯」といわれるほどの、

能を代表する名曲です。

 

平安初期の歌人・在原行平と、

須磨の海人女・松風と村雨姉妹の、

はかなく清らかな恋を描いた能で、

美しい幽玄の舞を楽しむ

鬘物の人気演目です。

 

やや長めの上演時間ではありますが、

あらすじ、舞、装束、面、謡、全てにおいて

これぞ能楽!といえる演目ですので、

これから能について深く知りたい方にも

ぜひ楽しんでいただきたい一曲です。

松風のあらすじは?

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出展:http://narano.exblog.jp/d2014-08-10/

 

それでは能の人気演目『松風』のあらすじを

簡単にご紹介いたします。

 

秋の夕暮れ。

旅の僧が須磨の浦にて、

いわくありげな松の木の前で足を止ます。

 

そのいわれを

在原行平の寵愛を受け

悲恋の末にこの世を去った

松風と村雨姉妹の旧跡であると知った僧は、

哀れに思い弔います。

 

やがて日も暮れる頃に

汐汲車を引く二人の海人女が現れ、

汐汲みを始めます。

 

ふたりに一夜の宿を乞い、

塩屋へ招かれた僧は

二人とともに秋の夜語りを始めます。

 

僧は二人に

夕刻浜辺で弔った松の木のことを話すと、

二人は涙を落とし、

自分たちが

その松風と村雨の亡霊だと明かします。

 

その昔、

行平が三年ほど須磨にて滞在した折に

寵愛を受けたものの、

都へ帰った行平はほどなく亡くなり、

後を追うように

二人も死んでしまったと語ります。

 

松風は

行平の形見の立烏帽子と長絹をまとい、

松を行平に見立てて狂乱の舞を舞いますが、

最後は僧に回向を請い、

後世を頼むと夜も白み、二人の姿は消え、

ただ松風が吹くばかりでした。

松風の見どころはここ!動画も紹介!

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能の演目『松風』は

見どころを一つ二つに絞るのが

大変難しい見どころ尽くしの作品

いえるのではないでしょうか。

 

「熊野・松風に米の飯」という言葉が

あるように、

日本人にとって

お米は毎日食べても飽きないものですが、

それぐらい『熊野(ゆや)』『松風』も

飽きることのない名曲だと言われています。

 

高貴な行平と海人女の、

身分違いであるがゆえの

激しい慕情の物語。

 

亡き後も恋い焦がれ

一途に思う女性の情熱を、

能独特の幽玄の情緒で表現しています。

 

また鬘物らしく舞も見事で、

特に前半は汐汲み、

後半は狂乱の舞(中の舞・破の舞)が

見どころといえます。

 

作者である世阿弥自らも

「事多き能」というように

所作は変化に富んでおり、

「灘返し」「小返し」「三拍子」など、

流派ごとの特殊演出も多い演目です。

 

また個人的にはやはり

能面といえば月並ながら女面。

美しい面をつけた二人の演者が

能装束をまとい対峙するさまは、

まさに幽玄の美といえ、

それだけで見どころになると思います。

静の美しさが映える鬘物は、

面を楽しむにはもってこいの演目です。

 

あらすじ付きのわかりやすい動画を

見つけましたので、

どうぞご参考になさってください。

能❖「松風」ダイジェスト❖日本の伝統芸能【日本通tv】

 

松風の謡の詞章の一部を現代語訳付きで紹介!

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出展:http://blog.goo.ne.jp/np4626/e/73222b05efc3acda20ddd6891badecb6

 

『松風』の謡の詞章を

主題歌ともいえる百人一首の歌を

松風が口にする場面から、

現代語訳とともにご紹介いたします。

 

「たち別れ

いなばの山の

峰に生ふる

 

まつときしかば

今帰りこむ」

 

それは因幡の遠山松

 

これはなつかし君ここに

須磨の浦わの 松の行平

 

立ち帰りこばわれも木陰に

いざ立ち寄りて

磯馴松の なつかしや

 

松風

行平朝臣は

『立ち別れ~(後述)』と

お詠みになりました。

 

そのお歌に詠まれた松は、

遠い因幡の山に生えている松ですが、

これは懐かしいわが恋しい君の

お住まいになった須磨浦の松で、

行平朝臣がこのお歌の通り

お帰りになったならば、

私もこの松の木蔭に立ち、

お側に寄り添い

甘えることができますのに・・・。

ああ、懐かしい・・・。

 

題材となった百人一首の歌の原文を紹介!

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出展:http://www.rekihaku.otsu.shiga.jp/news/1304.html

 

先にご紹介しましたように、

松風が行平の形見の立烏帽子と長絹を

うらめしく見て、

口にする百人一首の歌の原文がこちらです。

 

たち別れ

いなばの山の

峰に生ふる

 

まつときしかば

今帰りこむ

 

《転任の見送りありがとう

山の松立つ、

遠い因幡の国へ発ちます。

 

しかしもし「待つ」と言ってくれるなら

飛んで帰って参りましょう。》

 

在原行平朝臣

 

本来は因幡の国の長官として、

転任していく時に用いられた挨拶の歌

 

 

「飛んで帰ってくると

言ってくれたはずなのに」

と言わんばかりに

狂おしく想い、

松風は狂乱の舞を舞うのでした。

 

【関連記事】歌舞伎や狂言や能!違いってどこにある?わかりやすく紹介!

 

まとめ

 

能の演目『松風』は、

初心者には能を学ぶにふさわしい

お能らしいお能だと思いますし、

上級者にとっても

心地よく安心して観ることができる

演目だと思います。

 

ところで

能好きには堪らない鬘物ですが、

連れていく相手によっては…

寝てしまうんですよね。

 

数年前に薪能で観た時も

同行者がウトウト…。

 

静かな物語構成、

謡から発せられるα波。

 

わからないでもないですが…。

 

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