歌舞伎の舞台には、いい場面で
「●●屋!」
と大きな声がかかりますね。
これが、屋号。
それぞれの役者が、苗字とは別に持っている
看板のようなものなのです。
歌舞伎の屋号に格付けはあるの?
平安時代の貴族のように、藤原氏がランクが上・・
といった格付けは、
歌舞伎の屋号には基本的にはありません。
ただし、歴史の古い屋号の方が重くみられますし、
主役級を演じる家柄と脇役系の家柄というのはありますが、
役者の実力の方が重視されると思います。
別格の扱いは市川團十郎の名を継ぐ「成田屋」 。
市川宗家とも言われ、歌舞伎界で中心的な位置付けです。
江戸時代から続く代々の團十郎が荒事の芸を作り上げ、
人気を博したことで、別格の位置付けとなったのです。
歌舞伎の屋号を一覧で紹介!
それでは、屋号と、その家の著名な役者の名前、
芸風などを一覧でご紹介します。
成田屋
12代目の市川團十郎が2013年に亡くなり、
現在は11代目の市川海老蔵が当主です。
代々、荒事の役を勤めており、「歌舞伎十八番」は、
天保年間に七代目市川團十郎が市川宗家の
お家芸として選定しました。
「勧進帳」「助六」「鳴神」など、
現代でも人気でよく上演される演目が含まれています。
高麗屋
松本幸四郎・市川染五郎の親子は高麗屋。
成田屋との縁も深く、市川團十郎の跡継ぎがいない場合には、
高麗屋から養子が入って市川宗家を継いでいます。
11代目の團十郎は、高麗屋からの養子ですね。
当代(9代)の松本幸四郎は、
勧進帳の弁慶を当たり役にしていて
生涯で1100回以上演じています。
また、テレビのドラマや、「ラ・マンチャの男」
といったミュージカルにも出演していますね。
息子の染五郎も、新作歌舞伎の演出を行うなど意欲的です。
音羽屋
7代目尾上菊五郎が中心。
息子の尾上菊之助の他、踊りの藤間流家元である尾上松緑、
若手人気の尾上松也が音羽屋です。
当代の菊五郎・菊之助は、
ともに、女形・立役の両方を務めます。
播磨屋
中村吉右衛門が中心となるのが播磨屋。
近年、中村歌六、米吉、中村又五郎、歌昇、種之介も加わり、
大きな一門となりました。
当代2代目吉右衛門は、幸四郎の弟です。
母が初代吉右衛門の娘であり、
養子に入って吉右衛門の名跡を継承しました。
松嶋屋
片岡仁左衛門が中心となるのが松島屋。
関西を中心に活動している家で、
15代仁左衛門は、見た目の麗しさから
襲名前の孝夫時代から人気を博しました。
仁左衛門の息子の孝太郎、仁左衛門の兄の秀太郎と
その養子の愛之助が 活躍していますね。
成駒屋
中村歌右衛門が中心となる屋号ですが、
歌右衛門の名跡は、
6代目が2001年に亡くなってから空席です。
2016年には、中村橋之助が、
成駒屋で歌右衛門に継ぐ大きい名前の
「芝翫」を襲名します。
あわせて、橋之助の息子3名が、
橋之助、福之助、歌之介を襲名し、
親子4人の襲名と話題になっています。
成駒家・山城屋
「なりこまや」の音は同じでも、
「家」の字をあてるのが
関西を中心に活動する成駒家です。
襲名したばかりの中村鴈治郎、その弟扇雀を中心に、
息子たちの壱太郎、虎之助も
現代的な容姿で若手の注目株です。
鴈治郎・扇雀の父親の坂田藤十郎は、
藤十郎を襲名した際に
成駒家から、山城屋に移っています。
中村屋
みなさんにとって、一番馴染みのある屋号かもしれませんね。
しかし、実は、歴史は古くはなく、
十七代目中村勘三郎が襲名するにあたり、
屋号を新たに中村屋としたものです。
現在は、2012年に亡くなった18代目勘三郎の子息
勘太郎・七之助の二人が頑張っていますね。
萬屋
こちらも新しい屋号で、1971年に、
初代中村錦之助らが播磨屋から
独立するかたちで名乗りはじめました。
女方で活躍する中村時蔵・梅枝、中村錦之助、
イケメンで人気の若手 中村隼人、
テレビや映画でも活躍している中村獅童が萬屋です。
大和屋
10代目坂東三津五郎が中心でしたが、2015年に亡くなり、
息子の坂東巳之助が跡を継いでます。
女形の人間国宝、坂東玉三郎も大和屋です。
さて、あなたのご贔屓の役者さんの屋号はわかりましたか?