井上ひさしの小説を原作とした新作歌舞伎で、
2014年1月に歌舞伎座で上演された演目です。
「駆込み女と駆出し男」というタイトルで
映画化もされた作品ですね。
さまざまな事情で駆け込み寺へ飛び込んだ男女の人間模様を、
笑いで彩りながら描いた心温まるお話です。
あらすじ
江戸時代、幕府公認の縁切寺として知られたのが鎌倉の東慶寺。
そこには、それぞれの事情を抱えた数多くの女性が
離縁を求めて駆け込んできます。
医者見習の信次郎は、そういった女性たちを
一時的に預かる御用宿柏屋に間借りをしており、
滑稽本の作者として原稿を作成しています。
そこで信次郎は、駆け込む女性と巡り合い、
様々な男女の事情を知ることになります。
明るく朗らかなおせんは、
夫を愛するが故に離縁を求めています。
労咳を患うおぎんは、
実は、幼馴染と一緒になりたいために仮病を装い、
隠居の妾の立場から逃れ出ようとしています。
一見すると、悲しい物語が紡がれるように見えますが、
楽しいシーンもたくさんあります。
尼寺である東慶寺に、
医者として訪れる若い男性(信次郎)に
尼僧たちも心ときめかすシーンなどは
コミカルに描かれています。
縁切り寺ということなら、男性も逃げ込めるだろうと
やってきたのは、国分屋惣右衛門。
女房お陸に頭が上がらず
激しい夜の要求に音をあげて逃げてきたのでした。
結局、迎えにきたお陸には頭が上がらず、
そのまま共に帰っていくのです。
みどころ
主演の信次郎を演じたのは市川染五郎。
離縁を求めて訪れる女(+男)の話に真摯に耳を傾ける
好青年を 演じています。
ストーリーも、ほろりとさせたり、
クスリと笑わせたりさせながら、
テンポよく進んでいきます。
この演目は、2014年に一度上演されただけですが、
とても心温まる話ですので、
再演を望みたいところですね。
コメント