歌舞伎の演目「毛抜」は、
タイトル通り、毛を抜く道具の毛抜が
鍵となるお話です。
ストーリーがわかりやすくて
それでいて、大袈裟な演技があったり、
面白い小道具が登場したりと、
歌舞伎的な要素が
たっぷりと入った演目で、
初心者の方にもオススメです。
あらすじや、見た人の感想をご紹介するので
どんなお話か想像してみてください。
歌舞伎の演目・毛抜のあらすじは?
ある公家のお姫様が奇病にかかり
お嫁入りできないでいるところ、
嫁入り先の使者が、その奇病の謎を解き
そして、お家騒動も解決するというお話です。
主人公の粂寺弾正は、
「コナン」のような謎解きをする一方、
お小姓の美少年に擦り寄ったり
美人の腰元に言い寄って振られたりと
三枚目の役どころも見せてくれます。
さて、詳しいあらすじをご紹介しましょう。
公家の小野春道のお姫様、錦の前は、
文屋豊秀にお嫁入りが決まっていました。
ところが、錦の前は、
髪の毛が逆立つ
奇病にかかってしまい、
お嫁入りどころか
外に出かけることすらできません。
そこで、文屋豊秀の家来である粂寺弾正は
錦の前の様子を見に春道の館を訪れますが、
髪が逆立つ様子をみて驚きます。
錦の前が退出し、一人で弾正が控えていると
美しい小姓が煙草盆を届けにきました。
弾正は
「馬術を教えてやろう」
と手を取り、擦り寄りますが、
逃げられてしまいます。
また、お茶を届けに来た腰元にも
言い寄りますが、振られてしまいます。
退屈した弾正は、
毛抜で自分のひげを抜きはじめました。
すると、床の上に置いた毛抜が
勝手に立って動き出します。
続いて煙草を吸おうとすると、
銀の煙管は動きません。
弾正は錦の前の髪の毛が逆立つ仕掛けが、
天井裏に仕掛けられた大きな磁石だと
見破ります。
それは、お家乗っ取りを企む小野家の家臣が
仕掛けたことでした。
弾正はその家臣を討って、
悠々と引き上げていくのでした。
見た人の感想はどうだった?
美しい小姓に擦り寄り、
腰元に言い寄るという
「セクハラ」的なシーンでは、
弾正のユーモラスな振る舞いに
笑いが溢れる人が多いようですね。
役者さんによっては、
セクシー路線を押し出して
ユーモラスと言うよりも、
お色気ムンムンの弾正という
演技もあるようですよ。
違う役者さんの芝居を観て、
比べてみるのも楽しいですね。
そして、とてつもなく大きく誇張された
毛抜を取り出して、
髭を抜き始めると、
その大きな毛抜が踊り出します。
この辺りから、デレデレしていた弾正の顔が
引き締まってきます。
最後は荒事らしく、悪人をしっかり退治して
ハッピーエンド。
知識がなくても楽しめて、
最後はスッキリと爽快な気分になる
面白い作品です。
毛抜のストーリーが好きな人におすすめの演目は?
毛抜のように、最後は善人が悪人を退治して
メデタシ、メデタシという
水戸黄門タイプのストーリーが
お好きな方には荒事の作品がオススメ。
「暫」は、
「危ない!やられる」
というタイミングで
「し〜ば〜ら〜く〜〜」
と花道の奥から声が・・・。
すると、鎌倉権五郎という
スーパーマンが登場して
悪人たちの首をバッサリと
打ち取っていきます。
一方、弾正は小姓にも、腰元にも
言い寄って振られますが、
こういったセクシー&ラブコメ的な要素が
お好きな方には
「鳴神」は如何でしょう?
鳴神上人は、山にこもり修業一辺倒の僧侶。
ところが、雲絶間姫という美女が迫ると
コロリとその色気にやられてしまいます。
姫を介抱しようと胸元に手を入れた
あたりから
上人の表情が変わっていくところが、
見所の一つです。
さて、あなたは、どちらのタイプのお話が
お好みですか?
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