未生流という華道の流派はご存知ですか?
池坊、小原流、草月流ほど、
著名ではないかもしれませんが、
未生流は江戸時代から続く伝統ある流派です。
未生流から派生した流派も数多くあるのです。
それぞれの特長はどのようなものなのでしょう。
華道未生流を紹介!家元や特徴は?
出典:http://harimaliving.co.jp/livingculture/
華道未生流は、西日本を中心に活動している
伝統的な華道の流派です。
町人の間で化政文化が花盛りであった
文化4年(1807)年に
未生斎一甫によって、
大阪で創設されました。
未生斎一甫は、華道に、
宗教的な観念を取り入れました。
華道を通して、自らの心を安定させることが
未生流の理念として受け継がれています。
未生流のいけ花の技法の特長は、
直角二等辺三角形をかたどることです。
それは、世界を形成する
天・地・人の3点を意識して
出来上がった形です。
そもそも、いけ花は、神が降臨する憑代、
あるいは、仏のお供えとして飾られた花を
起源としています。
未生流のいけ花は、
宇宙との接点として花を挿すという古来からの思想を、
理論として成立させた技法といえるでしょう。
現在の家元は、十世肥原慶甫。
2014年に家元を継承しました。
端正な顔立ちと同様、
そのいける花も華やかです。
若き家元は、未生流の伝統を継承しつつ、
現代の感覚も取り入れ
花だけでアクリルなどの素材も取り入れた
斬新ないけ花に取り組んでいます。
未生流笹岡に総本家?「未生流」の名が付く流派はなぜ多い?
未生流笹岡は、未生流から派生した流派です。
1919年、未生流の高弟であった笹岡竹甫が
未生流投入盛花家元を創流したのが
始まりです。
明治以降の欧化した生活スタイルにあった
盛花が小原雲心によって考案され、
全国に広がり始めた頃、
笹岡竹甫 は、盛花の技法に
伝統的な未生流の技法である、
「天・地・人」を表す直角二等辺三角形を
取り入れた新しい笹岡式盛花を編み出し、
一派を立てました。
未生流笹岡も、未生流と同様
いけ花の技法を理論的に構築しています。
未生流笹岡に入門すると、
花枝の長さや配置・角度が 書かれた図面である
寸法表が渡されます。
この図面の通りに花を活けてていけば、
初心者でも、 美しい花姿に整えることができます。
寸法表を用いたいけ花が、
未生流笹岡の大きな特長なのです。
現在の家元は、3世笹岡隆甫。
舞台でのデコレーションとしての
いけ花などに積極的に取り組んでいます。
また、テレビや雑誌などに数多く登場し、
いけばなとその背景にある哲学を
初心者にもわかりやすいように解説しているので、
顔を知っているという方は
多いのではないでしょうか。
なお、未生流は、笹岡の他にも、
数多くの分派ができています。
数多く派生した未生流の分派と
未生斎一甫から代々伝わる未生流を
区別するために、
代々伝わる家を「総本家 未生流」と
呼ぶのです。
未生流の資格を取りたい!資格の種類や取り方を紹介!
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未生流には、2種類の生け花があり、
それぞれ、資格が異なります。
伝統的ないけ花を格花とよび、
●入門
●初伝
●奥伝
●郡会頭
●准国会頭
●国会頭
●師範
といった段階があります。
新花は八代家元・未生斎康甫が提案した
新しい時代のいけばなです。
資格も、現代的な名称に変更されており、
教授者になるまでのステップも明確です。
●2級
●1級
●上級
●准教授
●教授
という段階を踏んで教授者になります。
それぞれ、教授、師範の資格をとれば、
指導をすることができます。
また、教授、師範の資格取得後も、研鑽をつむべく、
さらに上位の資格もあります。
未生流に入門するとしても、
伝統的で理論的な格花を学ぶか
現代的な感覚の新花を学ぶか
迷うところですね!