生け花の花材は花だけではありません。
「枝もの」も立派な花材です。
たとえば、お店に「桜」が飾ってあると
目をひきますし、とってもおしゃれ
ですよね。
枝ものでしたら、切り花より長持ちでき、
季節感たっぷりのインテリアになります。
枝ものの生け花は一見、難しそうですが、
じつはちょっとしたコツを知れば楽しく
生けることができますよ。
そこで今回は
- 四季を感じる枝ものの選び方
- 枝ものの生け方のコツ
など生け花のお稽古歴25年(小原流)
の筆者がご説明します。
ぜひ、参考にして、
「枝ものがメインの生け花」
を楽しんでくださいね。
まずは「季節を楽しむ枝もの」から
ご紹介します。
春の枝もの
春の枝ものの花材でスグに
思い浮かぶのは「桜」ですよね。
花瓶に1本入れるだけでも「生け花」
ですが、ちょっと手を加えることに
よりさらに素敵になります。
枝の種類にはよりますが、細い枝
でしたら曲げると柔らかな曲線が
できます。
▼彼岸桜を曲げて柔らかな曲線を
つけている様子がわかる動画を
YOUTUBEで見つけました。
(スタート直後の手元を見てくださいね)
桜は細い枝ですが、じつは曲げて癖を
つけるのが難しい花材です。
ポキッと折れやすいので優しく、
少しずつしましょうね。
太い枝(幹)の場合は、ハサミでは
切ることが難しいのでハンディサイズ
のノコギリがあると便利です。
▼私が使っているノコギリはこれです。
桜の太い枝でしたら、
桜の木を丸ごと表現するように
生けても素敵ですね。
春の枝もの花材
- 桜
- 赤芽柳
- 雲龍柳
- こでまり
- 石化柳
- 土佐水木
- 木蓮
- 山吹
- れんぎょう
夏の枝もの
夏は緑がイキイキと映える季節
ですから、夏の枝ものの花材は
葉が多くついた「夏はぜ」「うつぎ」
などがおすすめです。
夏の花材は持ちが悪くなりますので、
少しでも長く持たせるために枝を
生ける前の「水揚げ」といわれる
下準備が重要になります。
▼枝ものにおすすめな水揚げが
簡単に分かる動画をYOUTUBEで
見つけました。
こちらの動画では切花栄養剤を使用
しています。
別の方法として、
- 切り込みを入れる
- 両端を切り落とした鷹の爪を
割り口に入れる - 水につけて水揚げする
- アルコール(日本酒・ウイスキー等)
を切り口につける
と一層長持ちします。
▼こちらの記事でも長持ちする方法
がわかります。
⇒ 生け花は長持ちする3つの方法とは? 長く楽しめるコツを解説!
夏の枝もの花材
- 夏はぜ
- うつぎ
- 大山れんげ
- くちなし
- しゃらの木(夏椿)
- りょうぶ
秋の枝もの
秋の生け花の枝ものは「楓(かえで)」
「ななかまど(雷電木)」がおすすめで
家でも紅葉を楽しめますね。
秋の花材は「枝もの」が主役になる
季節なので、大きな楓1本だけでも
素敵なインテリアになりますよ。
「紅葉」とひとことで言っても
その紅色は枝ものの種類によっても
微妙に色は違いますので「紅色の違い」
を味わうのもおすすめです。
薄い紅色、濃い紅色、茶褐色…
いろいろな枝ものを組み合わせて
生け花も楽しみましょう。
秋は実(あけび、梅もどき、栗等)が
ついている枝も多いので、実もの枝
だけの生け花もおすすめです。
秋の枝もの花材
- 楓
- どうだんつつじ
- 蔓もの(あけび、キウイ)
- 柘榴
- 雪柳
冬の枝もの
冬はクリスマス花と正月花の季節ですね。
クリスマスの花材として人気がある
枝ものは、シルバー色があるこんもり
した葉っぱの「薩摩杉」です。
主にリースやスワッグに使われる花材
です。
白い綿が雪のような「綿の木」、
赤い実が可愛い「野ばら」などは
生け花にも使われることも多く、
持ちも良いので、薩摩杉と併せて
クリスマスのリース等にも使えます。
正月花の枝ものは縁起物の
松・竹・梅・桐・千両・橙・万両
などです。
生け花は毎日水を取り替えるのが基本
ですが、冬は持ちが良いので花の延命剤
や水を足せば1週間以上もたせることも
可能です。
クリスマス花や正月花は一度生けたら、
水替えで生け直す必要はありません。
冬は花材に優しい季節なので、
ふだんより贅沢な花材で時間をかけて
生けてみませんか?
冬の枝もの花材
- 綿の木
- 野ばら
- 松
- 竹
- 梅
- 桐
- 千両
- からたち
- 白玉椿
- 藪椿
花材の枝もの種類をご紹介
花だけの生け花ですといま一つ…
ということは多いです。
枝ものを加えることでバランスがとれ、
美しく生けられますので、枝ものは
生け花に欠かせない花材です。
枝ものを生けるときに少し手を加えると
見た目もよくなり、生けやすくなります。
例えば枝を少し折ると・・
- 壺型の花器に収める(折り留め)
- 枝の向きを変える(折り矯め)
ことが簡単にできます。
生け花で使う枝ものは、
「生の植物」と「加工されたもの」
2つのパターンがありますので、
どういう枝ものかは次の章から
ご説明しますね。
実のなる枝もの
枝ものには実がついているものも
あります。
実のなる枝ものは花を組み合わせても
良いですし、実を花のように見せる
こともできます。
唐がらし・枇杷(びわ)・ほおずき・
あけび・稲穂・梅もどき・柿・
烏瓜(からすうり)・かりん・栗・
柘榴・桐・千両・橙・万両
などがあります。
実がついている枝は迫力があるので、
一輪挿しにするだけでもいいですね。
生け花としての役目が終わったら、
リースなどに再活用できますよ。
人工の枝もの
人工の花材(枝もの)には、
着色したもの、晒したものなどが
あります。
白く染められた「三又(ミツマタ)」は
クリスマス時期に花屋さんに並ぶことが
多い花材(人工の枝)です。
▼花材通販サイトでも白く染めた
三又は人気の品です。
晒しキウイつる、京友禅染の三又、
ブラック色のツツジなど、
魅力的な人工の枝もあります。
プリザーブド加工の枝も人気があります。
植物のままより長持ちしますし、
ドライ加工の枝より折れにくいので、
扱いやすい花材です。
▼プリザーブド加工の枝ものを見てみる。
人気のある三又、ネコヤナギ、
ゴールドの柊(ヒイラギ)もあります。
まとめ
この記事では
生け花の花材【枝もの】について
紹介しました。
簡単にまとめてみました。
枝ものを生けると花だけの生け花より
バランスよくなります。
季節に合う枝ものを使いましょう。
季節を代表する枝ものは・・
【夏】夏はぜ・うつぎ・大山れんげ
【秋】楓・蔓もの(あけび、キウイ)
【冬】野ばら・松・梅・桐・千両・椿
などがあります。
実のなる枝もの(唐がらし、ほおずき)
や人工の枝もの(着色、晒したもの)
もおすすめです。
生け花は基本的に「花・枝・葉」の
3種で構成されています。
葉物についてはこちらの記事に
詳しくあります。
枝ものは1本でも存在感があり、
日持ちするのでお得な花材ですね。
枝ものを生けて季節を楽しんで
みませんか?
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