通称「日招きの清盛」といわれるものですが、
めったに上演されない珍しいお芝居です。
1936年に五代目歌右衛門が演じた後、
長く上演が絶えていました。
次に上演されたのは1980年。
また、その後も途絶えていましたが、
2013年に京都南座の顔見世で上演されました。
背景
この「日招きの清盛」という話は、
平清盛が西海に沈む夕陽を扇で呼び戻して
周囲を明るくしたという伝説を舞台化したものです。
清盛は帝を凌ぐほどの権勢を極めますが、
その上、自然を意のままに操ろうとする傲慢さがあった
ということを表した伝説なのです。
あらすじ
宮島では厳島神社の造営が続けられています。
厳島神社の鳥居を背景に清盛が座ると、
周囲に侍る平家一門は、
平家の栄華をそれぞれ賛美します。
清盛の愛人でもある白拍子の祇王と仏御前が呼び出され、
舞を奉納します。
実は、仏御前は実は義朝の娘・九重姫が変装した姿。
平治の乱で義朝を討ち負かした清盛に親の仇と襲いかかります。
清盛は九重姫を取り押さえると、
義朝は無二の親友だが討たざるをえず、
内心忸怩たる思いがあったと打ち明けます。
そして、九重姫を無罪放免にします。
そのうち、日が沈みはじめ、
その日の厳島神社の造営が進まなくなります。
完成が間に合わないと周囲が困り果てる中、
清盛が扇をかざすと、
落陽が再び高く昇って、再び明るくなり
造営作業は続けられるようになりました。
人々は清盛の偉大さに驚くのでした。
みどころ
中々上演されない演目なので、
残念ながら私は実際に観劇したことはありません。
過去の上演記録を見ると、平清盛をどのように描くかが、
一つの見どころになっているようですね。
自然も思いのままに操りたいと考える、
不遜で傲慢な人物なのか、
あるいは、本当は慈悲深い人物で、
自然もおもわず協力するような人物として描くのか・・
次回の上演時には、どちらで清盛が描かれるのか、楽しみですね。
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